Update: 2013/8/10
作品



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33  ひまわり 2
 
 
2012.01.01
ひまわりは夏の花であることを宿命付けられ
大輪の花を咲かせ 高く伸びることを期待され続け
黄色でだけあることを 義務付けられ
12月に咲き残ったひまわりだけが 
まるで自分だけが間違ってしまったかのように
12月の冷たい風に吹かれていた
 
教室の後ろに貼り付けられた 児童の描いたひまわりは
同じ一輪のひまわりを 同じ教室で描いたのに
その色も形も どれ一つ同じひまわりはなかった
参観で何度も後ろを振り返り 母親を探している子も
お母さんを見つけ笑顔で 小さく手を振る子も
手を上げて「はい」と叫ぶ 元気な男の子達も
本当は分からなくて 当てられないといいのにと 挙げられた控えめな手も
恥ずかしくて どうしても手を挙げられない 自信のない女の子も
みんなそれぞれに色を塗り重ね咲いた
黄色いひまわり達が 教室の後ろに貼り付けられていた
 
ひまわりは死んだんだ
12月が終わる頃
頭を垂れて 色を失くし
まるでそれがかつて ひまわりであったことを拒絶するかのように
茶色く枯れきってしまったひまわりは
あたまを垂れて 色を失くし
冬の冷気の中で
ひまわりは ひっそりと死んだんだ
 
僕は伝えなければならない
僕が見届けたひまわりの死を
僕は伝えなければならない
ひまわりが残したたくさんの種子達の行方を
僕は伝えなければならない
冬の冷気の中 ひっそりと死んだ ひまわりの死の悲しみと無念を
 
 




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