すくってきた金魚を一匹水槽に入れた
ほらもうはじめからいたような顔して泳いでいる
金魚だって受け入れられるのに
蕾 ふくらみはじめた自分の
その先端をかたく閉じた
その中にやわらかな花びらを持っているのに
その中に色だって持っているのに
蕾 咲けるはずなのに
自分だけが咲けないとおもってしまっている
ダンゴ虫は小さな手で丸められ指先ではじかれ
転がっていってもほらもう一度自分を立て直し
また這い出していくのに
君が猫を抱き上げている
君が私を外して飼い猫に話しかけている
猫だって抱いてもらえるのに
君に抱いてもらえてるのに
蕾 恋をして幸せな暮らしを君にかけた
ふくらんでいく命に君と手をあて育んだ十月
このまま続けていけるとおもっていた
君を守るためにここまで来た
君のことしか考えていなかった
弱者と呼ばれてる
貧困と呼ばれてる
孤立と呼ばれてる
死が伝えられても
声を上げてくれればよかったのに
優しいふりしていった
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